カウンセリングの理論とは
心理学の歴史の中で数多くのカウンセリング理論が体系化されてきました。問題行動はどのようにして起こるのか、どのような援助行為によって、どのようにクライエントを変容させるのか、そうした概念をカウンセリングの理論は示しています。
数多くのカウンセリング理論が存在しているなかで、どれが完全な理論であるのかといった答えは無いようです。それぞれに特徴があり、一貫性のあるカウンセリングをおこなうための根拠を示しています。
理論が可能にすること
理論なしにカウンセリングは成り立たないことが分かります。
- クライエントの問題やカウンセリングの状況を客観的に把握する視点になる
- 反応や行動から結果の予測ができる
- 複雑な現象や問題を整理することができる
- ある体験や事実について理論的な説明と解釈ができる
- 理論上の仮説と事実のつき合わせによってカウンセリングの精度が上がる
カウンセラーは、問題行動の特徴や性質、さらには原因や対処方法に至るまで、クライエントの言動と事実のなかから把握する能力が必要です。そうした判断に必要な概念を示しているカウンセリング理論は、カウンセリングに見通しを立てるばかりではなく、状況や事実を整理するための助けになります。
カウンセリング理論の概要
それぞれの理論が提示している事柄の内訳
- 【人間観】:人間とは何かという哲学的な考え
- 【性格論】:性格はどのように形成され、作用するものか
- 【問題の概説】:問題とは何か、問題行動はどうして起こるのか
- 【援助技法】:理論に基づく援助技法の使用法
- 【援助目標】:目指す姿と健常者の概念
- 【行動指標】:目標達成のためにカウンセラーおよびクライエントは何をすべきか
- 【範囲】:対象とする問題の範囲
- 【限界】:その理論が適用できないクライエントや問題
主なカウンセリング理論の紹介
傾聴技法が知られる来談者中心療法や、治療技法が豊富な行動療法・認知行動療法など、多くの理論を学ぶことで考えの幅が広がります。