精神分析の概念である防衛機制「昇華」についての解説
防衛機制の一覧はこちら⇒防衛機制の一覧と例文
昇華とは
性的欲求や攻撃的欲求といった反社会的で認められない強い感情や欲求を、社会に認められる形に置き換えること。主にスポーツや芸術、仕事や学業へ衝動欲求を転換する。
好ましくない欲求エネルギーを、好ましい事柄にそそぐことができるため、上手くいけば人間的に大きく成長できる健全な防衛機制ではあるものの、欲求の転換先で失敗すると別の問題を抱えることもある。
昇華の具体例
- 性的欲求を小説や絵画などで表現する。
- 失恋してマラソンを始める、仕事にがむしゃらになる。
- 破壊衝動を野球(部活)に向けて解消する。
破壊的欲求や性的欲求のエネルギーをスポーツや芸術、仕事など社会や人に認められることに消費することが昇華です。例えば、失恋をして相手に認めてもらえなかった性的欲求のエネルギーをがむしゃらに仕事に打ち込むことで消費し、欲求不満を解消するといった働きをします。
昇華の病理論
昇華は直接的な欲求の発散を避けて、社会に認めらえるかたちに変えて発散させるとても優秀な働きです。しかし、欲求のエネルギーが大きければ大きいほど別の対象に欲求を向けることが難しくもなるので昇華はなかなか起こりません。そのため昇華がうまく働くのは環境に助けられていることが多いのです。昇華がうまくいかないと、抑圧したり、知性化や置き換えなど別の防衛機制が働きます。
昇華によって、性的・攻撃的な衝動欲求をスポーツや仕事に向けても、昇華先であるスポーツや仕事で思うような成果が出せなかったり、失敗が続いたりするとこころへの負担が通常よりも大きくなるため、うつなどにつながってしまうことがあります。