精神分析の概念である防衛機制の「逃避」について解説します
防衛機制の一覧はこちら⇒防衛機制の一覧と例文
逃避とは
面倒に感じることや向き合うことが困難な現実から目をそらし、別の現実や空想へ目を向けることを防衛機制では逃避と呼んでいます。明日までにレポートを作成しなければいけないのに部屋の掃除に時間を費やすといった行動。
また、防衛機制の「抑圧・否認・隔離」の総称を回避・逃避と表現することもある。
- 抑圧:不快な体験や感情を意識の外に排除し忘れること
- 否認:見て見ないふりをするように知覚したことを認めないこと
- 隔離:思考や行動と感情に距離があること。分離ともいう
逃避の具体例
●試験の前日に部屋の掃除に時間を費やす。
⇒試験という苦痛を伴う現実を忘れたいために、掃除という別の現実へ没頭することで試験のことを忘れようとする逃避行動。
●学校に行きたくないから熱を出す。
⇒学校や会社が苦痛な場であるために、体調を崩すことでそこから逃避すること。実際に熱を出したり下痢を起こしたりする、また原因の分からない病気など。
●仕事依存、パチンコ依存
⇒仕事が忙しくて休む暇がないという人には、夫婦や家庭に解決しなければならない問題を抱えていることが多い。無意識的に自ら忙しく働くことで向き合うべき問題から逃避する行動。
逃避の病理論
逃避をすることで向き合わなければならない不安やストレスを一時的に解消することができますが、逃避は問題を先送りにしているだけなので逃避傾向が強いと現実生活に問題が生じることがあります。
また、逃避先が病気であると原因不明な体調不良が続いたり、自律神経の乱れや神経症へつながる可能性があるため本質的な問題に向き合う事が必要になります。