精神分析の概念である防衛機制の「反動形成」について解説します
防衛機制の一覧はこちら⇒防衛機制の一覧と例文
反動形成とは
無意識の中に抑圧されている強い感情や衝動が、意識できる側面で正反対の傾向となって行動などにあらわれること。強い憎しみを抱く相手に対して、好意的に愛想よく振る舞ったりする。
抑圧の強化や、抑圧しきれない衝動への防衛機制として働く。
反動形成の具体例
●好きな相手にイジワルする
⇒表に出せない強い好意の感情を抑圧するために憎まれるような態度で接する。※相手の気を引くための愛情表現のイジワルとは異なる。
●子供を憎む親が子供を溺愛する
⇒子供に対する憎しみの感情を罪悪感から抑圧し、さらに極端な愛情を示して抑圧を強化しようとする働き。反動形成の愛情はよく見ると不自然さがある、溺愛しているようでどこか雑だったり乱暴だったりする。
●親孝行な子供
⇒献身的な親孝行も、子供のころに抱いた親への憎しみが反動形成されていることもある。長くは続かない。
●人が嫌がる仕事を喜んで引き受ける
⇒認められたい、必要とされたいといった想いから、本当は嫌な仕事が好きだと思い込む。
反動形成の病理論
本心とは正反対の態度や行動をとり続けることになるため、それがストレスとして蓄積することになります。気づいた時には精神的に追いつめられて、うつ病や神経症といった症状としてあらわれたり、抑圧していた攻撃衝動が爆発して大きな問題となることがあります。