学習理論の主要概念である三項随伴性の紹介
三項随伴性とは
三項随伴性は、オペラント条件付けを基にした理論で「人間がなぜ、どうして、その行動をするのか?」を、A:先行刺激、B:行動、C:結果という3要素から理解します。
- Antecedent:先行刺激
- Behavior:行動
- Consequence:結果
例えば、A:嫌な出来事があった、B:飲酒する、C:楽しくなった。とすると、飲酒という行動によって良い結果が得られたので、飲酒の頻度が増える。という図式ができます。このような「環境→行動→変化」の流れを「三項随伴性」といいます。
「三項随伴性は学習理論の中心概念であり、基本的にすべての行動を三項随伴性で説明しています。」
三項随伴性のモデル
※図の中の矢印にどんな認知があろうが取り扱いません。行動だけを観察し行動だけに働きかけるのが学習理論(行動療法)です。
A:先行刺激(分別刺激)
⇒行動よりも先か、同伴して提示されることでBの行動が自発されるきっかけとなる刺激
※行動の出現に何の変化も起こさない刺激を「中性刺激」と言います。
B:行動(オペラント行動)
⇒結果に作用される行動
C:結果(強化子/強化刺激)
⇒自発的な行動をしたことで起きた結果によって、行動の出現頻度を変化させる刺激
強化子は、正の強化子と負の強化子に分けられます
・正の強化子:与えることで行動の頻度が増加する結果
・負の強化子:取り除くことで行動の頻度が増加する結果
4つの行動パターン(行動随伴性)
人間の行動は4つのパターンに分類されます。
- 正の強化:与えられた(+)ことで行動が増える↑
- 正の罰(弱化):与えられた(+)ことで行動が減る↓
- 負の強化:取り除かれた(-)ことで行動が増える↑
- 負の罰(弱化):取り除かれた(-)ことで行動が減る↓
4つの行動パターン(行動随伴性)の例
①正の強化
望ましい結果を得たことで行動が増えたパターン
A:晴れた休日
B:テニスに出かけた
C:気持ちがいい
●Cで気持ちのよさを得られた(+)のでBの行動が増加↑
②正の罰(正の弱化)
嫌な結果を得たことで行動が減ったパターン
A:犬を見た
B:触る
C:噛まれた(痛みを与えられる)
●Cで痛みを与えられ(+)たことでBの行動が減少↓
③負の強化
不快なことが取り除かれたことで行動が増えるパターン
A:外から帰宅
B:手を洗う
C:不安が減った
●Cで不安を取り除いた(-)ことでBの行動が増加↑
④負の罰(負の弱化)
楽しみを奪われたことで行動が減ったパターン
A:クレヨンがある
B:壁にらくがき
C:おやつ抜き
●Cでおやつを奪われ(-)たことでBの行動が減少↓
治療への適用
人間の行動は複雑ですが、三項随伴性に当てはめることで行動の仕組みを理解することができます。そして、理解した仕組みを分析し行動によって起こる結果を操作することで、好ましい行動を増やしたり、不適切な行動を減らすのが三項随伴性を利用した治療法です。ABC分析や応用行動分析とも呼ばれます。
- 増やしたい行動や減らしたい行動をABCに当てはめる
- ABCのどこを変えれば期待する結果が得られるか検討
- 実際に行動や結果を変えて検証する
ABCを検討することで、なぜその行動が起こるのか、なぜ止めらえれないのかといった行動の理解に役立つところから、実際に変化を加えてみることで、上手くいかなかったとしても試行錯誤的に望む行動への変化を期待することができます。
また、この方法は行動を目に見える形にデータ化できる点がとても優れています。
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