嫌悪療法の概要と具体例

行動療法の技法、嫌悪療法の紹介

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嫌悪療法

嫌悪療法は、好ましくない行動や思考を抑止するために、不快な刺激やイメージを条件反応的に形成する方法。嫌悪条件付けとも呼ばれ、古典的条件付けをベースとした行動療法のひとつ。

アルコール依存症の患者に抗酒剤(こうしゅざい:お酒を飲むと気分が悪くなる薬)を用いるのが嫌悪療法の典型例です。抗酒剤のような薬物を用いる方法の他に、不快なイメージを用いる方法や電気ショックといった肉体的な苦痛を用いる方法など様々な嫌悪刺激が使われます。

●主な治療対象

  • アルコール依存
  • 薬物依存
  • たばこ依存
  • 異常性欲(性的逸脱行為)など

嫌悪療法の具体例

嫌悪

アルコール依存:抗酒剤

慢性アルコール中毒や飲酒により体をこわしてる場合に用いられる方法。患者はシアナミドやジスルフィラムといった抗酒剤を服用することで、少量のお酒で頭痛がしたり気分が悪くなる。この嫌悪刺激によって飲酒をやめさせるのが目的。

たばこ依存:急速喫煙法

急速喫煙法は、一度に大量の喫煙をして気分を悪くする方法で、喫煙により体に害が出ていたり、禁煙の目的で用いられていた。アルコールに対する抗酒剤と同様に「喫煙=気持ち悪い」という条件づけによってたばこをやめさせるのが目的。現在の禁煙法はニコチン補助剤が基本で、大量喫煙による副作用の問題があり急速喫煙法が用いられることはほとんどない。

嫌悪療法の注意点

嫌悪療法は、行動の抑止に即効性がありますが、意図的に苦痛やトラウマを植え付けるような治療法であるため、倫理的な問題を指摘されることも多く、治療に用いるには高度な専門知識と慎重な対応が必要です。

また、理論は異なりますが、オペラント条件付け罰の効果(肉体的な罰による行動の抑止は効果が一時的)に見られるように罰(嫌悪)を用いた行動の抑止は一時的だと言わざるを得ない点にも注意が必要です。嫌悪による行動の抑止だけでなく、同時に適切な行動を学習することが嫌悪療法を用いるうえで重要な視点となります。


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