パーソナリティ障害
パーソナリティ障害とは、生活する文化の中で一般的で平均的な人格的傾向や行動よりも、著しく偏った行動のパターンをしており、人間関係や社会活動の中で不適応をおこす状態のことです。不適応的な行動によって本人が苦悩するだけではなく、他人や社会にも不利益をもたらすこともパーソナリティ障害の特徴です。
パーソナリティ障害の特徴
分かりやすく言えば、風変わりで奇妙な行動をする「変わった人」や「困った人」です。良く知られるところでは、情緒不安定で他人を大きく巻き込み自他ともに苦悩に追い込む「境界性パーソナリティ」、犯罪者に多い「反社会性パーソナリティ」、大げさで自己中心的な「自己愛性パーソナリティ」などがあります。
- 有病率:軽い症状を含めて約5%
- 本人も周りの人も苦悩する
- 生涯にわたり同じ不適応を繰り返す
- 診断可能になるのは、およそ人格が固定される成人以降
パーソナリティ障害の原因
パーソナリティ障害の原因は、半分が遺伝要因、残り半分が生育環境によるものだと言われています。遺伝要因は、双子の研究で確認されており、親の愛情不足や過保護、性的虐待などの経験はパーソナリティ障害と強い関連があります。
- 遺伝
- 生育環境
さまざまなパーソナリティ障害
パーソナリティ障害は、大きく3つのグループに分類されます。それぞれの特徴は以下の通りです。
A群:奇妙な変わり者
- 妄想性パーソナリティ障害:猜疑心が強く人を信じない、妬みやすく疑い深い。
- シゾイドパーソナリティ障害:交友関係がない。何事も無関心。
- 失調型パーソナリティ障害:奇妙な行動や思考、疑い深く不適切な思考や感情。
B群:劇的で激しい
- 境界性パーソナリティ障害:情緒不安定で自己破壊的。自殺未遂を繰り返し他人を巻き込む。人間関係も不安定で操作的、執着や期待が大きく劇的。
- 演技性パーソナリティ障害:人の注意を引こうとする大げさな振る舞い。
- 自己愛性パーソナリティ障害:自己中心的、他人の評価を気にし大げさな自慢。
- 反社会性パーソナリティ障害:人間関係が不安定。他人の権利や安全を無視し罪の意識がない。耐性がなく我慢ができない。他人を責める。
C群:大きな不安
- 回避性パーソナリティ障害:自分に好意をあると分かっている親しい人としか関わらない。回避的で行動にも制限が多い。
- 依存性パーソナリティ障害:密接な人間関係を求め、取り残されることへの不安が強い。他人の援助がないと自分では何もできない。
- 強迫性パーソナリティ障害:完璧主義で思考が固い。何事もため込んで消化できない。
パーソナリティ障害の治療法
パーソナリティ障害をもつ人は、うつ病やアルコール依存症など様々な疾患を合併していることが多いため、合併症状の治療を優先しておこないます。また、多くの場合、社会的生活の支援が必要になります。
パーソナリティ障害のみの治療は、精神療法が中心となっており、認知行動療法の弁証法的行動療法(DBT)は、境界性パーソナリティ障害に特化した治療法として知られています。
- 合併症治療
- 認知行動療法
- 生活支援
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