バーナム効果(フォアラー効果)(フリーサイズ効果)
バーナム効果とは、誰にでも当てはまるような曖昧で一般的な内容を、「自分のことだ!」と思いこんでしまう心理現象のことです。
例えば
「血液型がA型だから几帳面」
→誰にだって几帳面な部分はあるはずです。B型の知人もマンガ雑誌を一巻から順番に並べていましたし、とても丁寧な仕事をするO型の同僚も居ます。几帳面はA型の特徴ではなく人が持つ性格特徴の一つなのですが、「A型は几帳面」という曖昧な表現が持つバーナム効果がA型の特徴なのだと思いこませているのです。
多くの研究者によって血液型と性格に因果関係は無いと証明され、それは周知の事実であるはずですが、「○○さんって、もしかしてA型?」「そうそう!なんでわかったの?」なんていう会話をよく耳にしますよね、実はバーナム効果には、人に興味や好意を向けさせる効果もあるのです。最近ではビジネス広告や営業、文章構成などを中心に心理技法として取り入れられています。
この理屈は、「当たってる!」「自分のことだ!」と感じると興味を持つし、相手に言われると自分のことを理解してくれていると思い込み、好感度が上がるといった感じです。脳内では、ドーパミンやアドレナリンの分泌が増え、快楽や興奮を伴うので人によっては「占い依存症」などといった依存状態になることもあるほどです。
占いもバーナム効果?
血液型の性格診断や誕生月占いなどはバーナム効果の代表です。占い師や霊視などいった科学的根拠はないが説得力を持っている言葉にはバーナム効果がうまく利用されています。
「あなたは・・人間関係に大きな問題を抱えていますね。」
→多かれ少なかれ人間関係に問題のない人はいません、たとえ悩みが病気や借金だったとしても、それが人間関係に起因するのだと状況を当てはめて思ってしまうのがバーナム効果のすごいところです。
「あなたは、他人から好かれたい、褒められたいと思っていますが、反対に自分を否定的に捉えて思い悩むこところがありますね。」
→褒められたら嬉しいし、自分の欠点の1つや2つ抱えているのは自然なことです。
「5月に運命の人と出会うでしょう。」
→出会うことに意識を向ければ、人は無数の人と間接的にも直接的にも出会っています。これまで親交のあった人との新たな出会いという受け取りもできますし、いずれ恋人となる男性と引き合わせてくれる友人との出会いかもしれない、仕事で関わる出会いもある。運命の出会いなんて実はいくらでもあります。
バーナム効果をつくるコツ
フォアラーの作った性格診断を参考にすると、反対の意味をもつ言葉をつなげると、曖昧で意味深な調子の言葉を簡単につくるコツかもしれません。
例:「あなたは、○○ですが、××なところもあります。」
・→「あなたは、独占欲が強いですが、相手を理解し分かち合うことに喜びを感じるところもあります。」
バーナム効果の例文
- 「血液型がO型の人は、おおらか」
- 「血液型がA型の人は、綺麗好き」
- 「他人の感情から影響を受けやすく、情緒不安定になりやすいです」
- 「あなたはロマンチストな面を持っています」
- 「今年は人生を左右する1年になるでしょう」
- 「あなたは、理屈っぽく、優柔不断なところがあります」
- 「あなたは、すばやい行動力ゆえに、配慮や繊細さに欠けるところがあります」
- 「物事に飽きっぽく、全てが広く浅いタイプです」
- 「プライドを傷つけられるとやる気をなくします」
どの言葉も、曖昧で誰にでも当てはまるのだけど、なぜか自分のことだと感じてしまうのです。
フォアラー実験_1948年
アメリカの心理学者バートラム・フォアラーは、誰にでも当てはまるありきたりな性格描写を、他人にも当てはまることだと考えることなく、自分だけに当てはまると思い込んでしまう状況を発見した。これが後にバーナム効果と呼ばれることになります。
フォアラーは、学生を対象にバーナム効果を証明する実験をおこないました。この実験では、性格検査と称してテストを実施してもらい、テスト結果として、すべての学生に同じ性格特徴が書かれた診断結果を手渡しました(同じ結果であることを学生は知らない)。学生は診断結果を確認し、自分の性格を正しく診断できているのか、5段階(1.まったく異なる~5.非常に正確)で評価する。といった内容の実験。
結果、平均4.26と高い正確性が示されたことによりバーナム効果が証明されることになった。
テスト結果となる性格の記述は、フォアラーが星占いの文章を組み合わせて作成したもので、下記がその内容。
あなたは他人から好かれたい、賞賛してほしいと思っており、それにかかわらず自己を批判する傾向にあります。また、あなたは弱みを持っているときでも、それを普段は克服することができます。
あなたは使われず生かしきれていない才能をかなり持っています。外見的には規律正しく自制的ですが、内心ではくよくよしたり不安になる傾向があります。正しい判断や正しい行動をしたのかどうか真剣な疑問を持つときがあります。
あなたはある程度の変化や多様性を好み、制約や限界に直面したときには不満を抱きます。
そのうえ、あなたは独自の考えを持っていることを誇りに思い、十分な根拠もない他人の意見を聞き入れることはありません。
しかし、あなたは他人に自分のことをさらけ出しすぎるのも賢明でないことにも気付いています。あなたは外向的・社交的で愛想がよいときもありますが、その一方で内向的で用心深く遠慮がちなときもあります。あなたの願望にはやや非現実的な傾向のものもあります。
バーナム効果という名前は、アメリカの心理学者ポール・ミールが、話術で有名な興行師のP・T・バーナムの”we’ve got something for everyone”(誰にでも当てはまる要点というものがある)という言葉から、彼の名に因んでバーナム効果と名付けたそうです。フォアラーの実験から「フォアラー効果」とも呼ばれます。また「フリーサイズ効果」という言葉もありますが、ほぼ同義語と思われます。