交流分析の最終目的
人生脚本
波乱万丈な生涯を「ドラマのような人生」などと表現することがありますが、交流分析では、まさに人生をドラマだと仮定しています。この人生のドラマには脚本があり、人は脚本通りに一生を演じているというのです。
進学・就職・結婚・病気と人生の大きな局面でいつも失敗する人は、はじめから失敗する脚本を手にしています。なんでも上手くいく人はそんな脚本を書いたのでしょう。
人生脚本は6才くらいまでには書き終えているとされ、両親の影響を受けて幼少期に完成させています。完成してしまった脚本が好ましくない脚本であったなら、この拘束を外し、不適切な脚本を好ましい脚本へ書きかえて、人生の可能性を最大限活かそうとするのが脚本分析であり、交流分析の最大の目的です。
悲劇的な脚本
おもに幼児期に親から受けた「禁止令」を元に書かれた脚本。この悲劇的な脚本に従うと、過食による肥満や拒食、自らの行動が起因する病気、計画犯罪・性犯罪・物質依存・アルコール中毒・事故死・自殺など、自分で自分を不幸にします。
悲劇的な脚本のなかは「成功の後には必ず大きな失敗をする」とか「健康であってはいけない」とか、極端な場合は「生きていてはいけない」などと書かれています。これが親から受け取った「禁止令」といわれるもので先で紹介します。
成功者の脚本
絵に描いたような成功者のイメージです。この脚本を持っている人は、人生の満足度が高く。失敗は成功のもとになり、何事も一生懸命で、他人からは輝いて見えます。自他ともに尊重し、周りにいる人を幸せにします。
脚本分析が目標とするのは「成功者の脚本」です。誰もが理想とする脚本を持つことは難しいですが、脚本から禁止令を消して、悲劇が待つ人生から成功者に近づけていくことはできるのです。
禁止令
「脚本のもとになる危険な材料」
禁止令の一覧
健康であってはいけない
普段かまってくれない親が病気の時だけ優しくしてくれる経験が多いと「病気のときは愛された、健康であってはいけない」と健康であることを禁止される。また、自身の体調を管理できず病気を繰り返している親をモデルにした場合もこの禁止令が伝わる可能性がある。
この禁止令を持つ人は、健康に関心がないか、あるように振る舞うが行動が伴わない。暴飲暴食、偏食、不眠、過度な喫煙、症状としては胃潰瘍などを繰り返すことが多く、注目や愛情のストロークがほしいために病気を使って必要以上に人を巻き込む傾向があります。
考えてはいけない
「口答えするな」「お前は黙って従いなさい」「私たちに任せなさい、あなたは何も考える必要はありません」と考えを否定されたり、親に従うかたちで幼児期を過ごすと受けやすい禁止令です。
この禁止令を持つ人は、何事も受け身で自ら考えることを放棄しているようにみえます。自発性が乏しいため引きこもったり、何をすればいいか分からずパニックを起こすといった問題をもつ可能性が高いです。
成功してはいけない
「お前には無理だ」「お前は何をやってもだダメだ」と子供の努力を認めない親、失敗したときにだけ励ます親、失敗を繰り返す親から伝わるのがこの禁止令です。
この禁止令を持つ人は、はじめから何かをなすことに関心がないか、やる気も能力もありながら入試テストの解答用紙に名前を書き忘れたり、昇進直後に不祥事を起こしたりと信じられないミスをする傾向があります。
女であってはいけない
同じ女性である母親が「男に生まれたかった」「女ばかりが損をする」といった態度をとっていたり、「男の子が欲しかった」という親のメッセージを受けた子供は「女のわたしは必要ではない」「私は男の子でなければいけなかった」と女であることを禁止されてしまいます。
この禁止令を持つ人は、自分に自身を持つことができません。男のように振る舞うことが多く、嫉妬から男性と敵対したり、女性に対する嫌悪感から女性とも適切な関係をつくれないなどといった問題を抱えることになります。
存在してはいけない
生命を脅かす危険な禁止令。幼児期の虐待や育児放棄から自身の存在を否定されたり、過労による病死や自殺をした親をモデルにすると存在の禁止令を受ける。
この禁止令を持つ人は、なにごとにも希望が持てず絶望感にさいなまれています。過度な不眠や飲酒、スピードの出し過ぎや危険な場所を好むといった傾向があります。
そのほかにも様々な禁止令があります。
- 男であってはいけない
- 子供でいてはいけない
- 感じてはいけない
- 楽しんではいけない
- 成長してはいけない
- 実行してはいけない
- 目立ってはいけない
- 仲間に入ってはいけない
- 愛してはいけない
- 自立してはいけない
- 近づいてはいけない
- 欲しがってはいけない
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