時間の構造化とは
人はストロークが足りなくなると、精神的・肉体的に問題が起こります。そのストロークがプラスでもマイナスでも、どうにかして満たそうと日々の生活の中で時間の過ごし方を決めています。
交流分析では、ストロークの密度を規定し、生活時間をどのような割合で過ごしているかを測定することを「時間の構造化」といいます。時間を構造化すると不足しているストロークが一目で分かるようになり、必要なストロークを追加すれば問題の解決が容易になるのです。
6つの構造
ストロークの密度は次の6つから構造化されます。
1.引きこもり
空想したり飲酒して時間を使うことが多い。人とのかかわりがないため傷つくことはないが問題行動や身体症状に結びつきやすい。幼少期に両親から必要なストロークをもらえなかったことで、自身の中にストロークを求めた結果、引きこもりを多く使うようになった背景をもつ人が多い。
2.儀式
挨拶など、かたちとしてのかかわり。地域の行事や保護者会など集団の中の一人として存在しているが他人との深いかかわりはない。外界からストロークをもらう安全な方法ではあるが、一方通行でストロークの密度が低い。
3.活動
仕事や家事など。職場の上司や部下とのかかわり、地域の人たちと情報交換など、特定の目的をもってストロークを交換する。さまざま人々から多くのストロークを得られるが「活動」ばかりに専念しすぎると「定年後うつ」や「空の巣症候群」といった問題が出てくるため注意が必要。
4.雑談
目的や生産性のない会話。主婦の井戸端会議や喫煙室での社交的な会話など、気晴らしやストレス解消になることも多く、低いリスクでストローク交換が可能。
5.心理ゲーム
ゲーム分析で紹介しましたが、特定の対象と条件がそろうと繰り返しおこなわれる「裏面的交流」で不快な結末で終わるのが特徴です。ゲームはかなり密度の高いストロークの交換なので、家族やかかわりの深い相手としか起こりません。しかし、欲しいストロークは歪んで返ってくるため、満足できずに何度も衝突(ゲーム)が繰り返されます。
6.親交
交流分析が目指す理想的な交流。お互いに信頼し尊重しあう「自他肯定」の関係で、自由なかかわり。「親子愛」「恋愛」「夫婦愛」に含まれる愛のある交流とも言えます。しかし、愛と憎しみは紙一重などというように儀式や雑談に比べればリスクのある交流でもあります。
時間構造の例
例:Aさんの時間の過ごし方
- 引きこもり 50%
- 儀式 5%
- 活動 35%
- 雑談 5%
- 心理ゲーム 5%
- 親交 0%
これは、会社員の独身男性です。「活動」つまり仕事以外は部屋の中で過ごすことが多く家事の他にはテレビや読書で時間を使っています。仕事はIT関係で業務以外の会話はほとんどないとのこと。
特徴的なのは「親交」がないことです。また、引きこもりがちで交友関係がないので対人関係から得られるストロークが不足しているように見受けられます。
彼は生活に支障はないものの、憂うつ感が強く、自律神経に関わる身体症状を抱えています。こうした問題と生活時間の構造は関係性が高いと考えられます。そのため、良質なストロークが得られる時間を確保できるように構造を変えていくことが生活の質の向上、さらに問題の解決につながるのではないか。といったように時間の構造を分析することができます。
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