学習心理学とは(学習理論)

行動療法、認知行動療法の基礎、学習心理学の紹介

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学習心理学

学習心理学は、人や動物がさまざまな経験を通して学ぶことによって、行動を変容させていく過程を研究対象とする心理学のこと。

歴史的には、新興科学として19世紀のイギリス「人間は生まれたときは白紙である/タブラ・ラサ」という立場の経験主義と、知覚と知覚の連合によって現象を説明する連合主義をベースに、ダーウィンの進化論を取り込み誕生した。

その後、学習心理学はアメリカに渡る。進化論を人の内面にある意識や感情に応用したところから「適応」の概念が誕生し、機能主義行動主義へ発展していった。

学習とは

学習とは、さまざまな経験によって獲得され、環境に適応的に変化する行動のこと。この学習によって起こる行動のことを「学習的行動」といって、反対に学習しなくても遺伝情報として備わっている行動を「生得的行動」といいます。

生得的行動

反射

刺激や環境の変化に対応して自動的に起こる反応

代表的な反射
  • 姿勢反射:姿勢を調整、維持する反応
  • 眼瞼反射:物が近づくと目をつぶる
  • 瞳孔反射:明るさに応じて瞳孔の大きさを調整
  • 唾液反射:口に物を入れると唾液が出る
  • 屈筋反射:熱湯に触れ瞬間的に手を引っ込める

走性

外部からの刺激に対して方向性のある行動をとる反応

代表的な走性
  • 走光性:虫が外灯に向かって飛ぶ
  • 走化性:毒性の物質から離れる
  • 走湿性:湿気を頼りに水場へ向かって移動する
  • 走磁性:微生物が磁場に沿って行動する

本能行動

外部からの刺激に対して複雑に組み合わさった一連の固有反応

本能行動の例
  • 渡り鳥の回遊
  • 蜘蛛の巣づくり
  • ※人に本能行動はないとされている

習得的行動

経験や学習によって獲得した行動

人間の行動は、そのほとんどが経験から学んだ習得的な行動です。学習心理学が対象にしているのもこの修得的行動です。

行動主義と新行動主義

行動主義

ジョン・ワトソンの研究に代表される、刺激(S)と反応(R)の結びつきで人間の行動メカニズムを説明しようとする理論。客観的で観察可能な行動のみを研究対象にした。

S-R理論:刺激(S)-反応(R)

新行動主義

行動主義のS-R理論では不十分だととしてクラーク・ハルやトールマン、スキナーらが提唱。S-R理論における刺激と反応の間に行動の法則を決める何らかの媒介構造があるのではないかと考えたのが新行動主義の特徴。

S-O-R理論:刺激(S)-媒介体(O)-反応(R)

S-O-R理論では、媒介体(Organism)によって人間の行動の原理を統合的に説明できるとされたが、媒介体が仮説的な概念であったため客観的な測定ができないという問題が残った。

学習理論と行動療法

学習理論

S-R理論やS-O-R理論に代表される、人間の行動は経験に基づく後天的な学習の結果であると考え、「学習」による行動変化を研究する理論。

行動療法

学習理論に基づき、心理的な問題や不適応行動は、誤った学習の結果であると考え、適切な再学習によって問題を解決に導く行動変容法の総称。


ご高覧ありがとうございます。学習心理学を概説させていただきましたが、続いて、古典的条件付けオペラント条件付け行動療法の理論と技法認知行動療法と説明していますので、よろしければ続きをどうぞ。

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