行動療法の技法、シェイピング法の紹介
シェイピング法
シェイピング法(行動形成法/漸次的接近法)は、オペラント条件付けを利用した技法で、最終的に目標とする行動を獲得するために、その行動を小さなステップに分けて、段階的に獲得へ導いていく方法です。主に幼い子供や、発達に問題のある児童に社会的に必要な行動を修得する目的で用いられます。また、動物のしつけや高度な訓練にも使われています。
- 目標行動の設定
- 目標行動の細分化
- 報酬となる強化子の用意
- プロンプトの準備
- 段階的に行動を強化
- 目標行動の獲得
各セッションを解説します。
目標行動の細分化
細分化の例:部屋から出る
1.立つ、2.歩く、3.ドアに近づく、4.ドアに触る、5.ドアノブに触る、6.ドアノブを回す、7.ドアを押す、8.開いたドアを押さえて固定する、9.右足をドアの外に出す、10.両足を外に出して部屋から出る、11.ドアから手を離す
このように一つの行動を形づくっている一連の流れを細分化します。
報酬(強化子)
ひとつのステップを達成するたびに報酬を与えることでその行動を強化していきます。例えば、犬や猫などの動物であればエサが報酬になります。人間の子供の場合は「褒めてあげる」ことが基本的な報酬です。その報酬で行動が強化(増える)できるのであれば、どんな報酬でもいいので適した報酬を用意します。
プロンプトの準備
プロンプトとは、行動を促すもののことです。例えば、「お手本を見せる」「目的の行動をおこなっている映像を見せる」などです。プロンプトはとても重要で、お手本であれば目標行動の全体像を教えることや、その行動を促す手掛かりにもなります。
シェイピング法の例
- 例:不登校
- 目標:学校で一日授業を受ける
- 自室から出る
- 服を着替える
- 学校の時間割をそろえる
- 玄関に鞄を用意
- 靴を履く
- 家の外に出る
- 保護者と一緒に学校まで行く
- 保護者と一緒に校内に入る
- 1人で学校の前まで行く
- 1人で校内に入る
- 保健室登校をする
- 1教科だけ授業を受ける
- 午前中だけ授業を受ける
- 終日授業を受ける
この場合は、保護者の励ましや褒め言葉が報酬になることが多いと思います。プロンプトとしては、楽しそうな学校生活をしている子供たちが映っている番組を見せるとか、学校の友達からの手紙などが考えられます。あとは1ステップ、1ステップを丁寧に強化して最終ステップまで焦らず進めていきます。