行動療法の技法、アサーショントレーニングの紹介
目次
アサーショントレーニング
アサーションとは
アサーションを簡単に表現すると「相手も自分も大切にした自己表現」のことで、アサーション・トレーニングは、その自己表現の技能訓練のようなものです。自己表現の仕方は人によって違うものですが、不適切な自己表現はコミュニケーションの障害になるだけではなく、大きなストレス要因になるため、うつ病や物質依存などの問題につながっていきます。
3つの表現タイプ
例えば、大切にしていたCDを友人に貸したところ、「失くしちゃった」と笑顔で言われて返ってこなかったとします。そんなとき、あなたならどのように振る舞うでしょうか?
「ふざけるな!笑って済むか!」と、怒りをぶつけて責めますか?もしくは、「え?失くしたの・・そう。」と、感情を押し込んで自己犠牲的な態度で接するでしょうか?。このような自己表現には大きく分けると3つのタイプに分類されます。
1.アグレッシブ(攻撃的)
自分本位な一方的な主張で相手のことを考えないタイプ
- 支配的
- 操作的
- 支持的
2.ノン・アサーティブ(非主張的)
相手を優先し消極的な主張、自分のことは後回しにするタイプ
- 引っ込み思案
- 消極的
- 依存的
3.アサーティブ(理想的)
自分を大切にし、相手も尊重する柔軟な表現をするタイプ
- 正直で積極的
- 自他尊重
- 調和的、協力的
「アサーショントレーニングの目的は、アサーティブを身に着けること」
攻撃的タイプと非主張タイプの問題
アサーショントレーニングではアサーティブを身に着けることが目的になります。攻撃的なタイプの人は、思い通りにいかなかったり、相手が自分に従わないと大きなストレスを生みます。非主張的なタイプの人は、不満が蓄積しやすく、ストレスを溜め込んでいます。
どちらもコミュニケーションの問題が起きやすい事は想像に難しくありません。さらに、過度にストレスを受けることで感情が爆発し、問題行動や精神的な疾患のリスクも高くなります。
アサーショントレーニングの方法
アサーショントレーニング
目的:アサーティブを身に着ける「自分の考えや感情を適切に表現し、相手の考えや感情も尊重する。柔軟で円滑な人間関係をつくり維持することができる」
トレーニングの流れ
- 質問紙などの心理テストやカウンセリングを通して自己表現のタイプを知る
- 3つの表現タイプの違いを理解する
- アサーティブな自己表現をモデルや事例を使って学ぶ
- ロールプレイを通してアサーティブを実践する
- 社会生活の中で活かし実践する
トレーニングは、言語的な表現から態度や表情などの非言語の学習をはじめ、モデリング技法、学習理論を利用した行動強化、フィードバック法など様々な技法を取り入れて体系化されています。
近年では、治療プログラムを用いて、教育機関などで用いられるほか、ビジネスや日常生活におけるコミュニケーションスキルの向上を目的に、広い分野で実施されています。
- 関連記事|認知行動療法
- 関連記事|行動療法の理論と技法
- 関連記事|交流分析