双極性障害(躁うつ病)とは
双極性障害は、うつ状態と躁状態を繰り返すことを特徴とする病気です。簡単に言うと、抑うつとして気分が落ち込んでいるときもあれば、反対に高揚した気分で活動的になったりと、大きく気分が変動し、それを繰り返します。
特徴としては、自殺のリスクが高く、再発率は90%と危険性が高く、完治するのは難しい病気です。躁状態が強いⅠ型と、躁状態が比較的軽いⅡ型に分類されます。
- 抑うつと興奮の繰り返し
- 再発率90%
- 女性は男性の1.5倍
- 好発期は20代前半
- 遺伝要因あり
- 自殺率10%
躁状態とは
躁状態の特徴は、気分が高揚し活動的になることです。軽い躁状態であれば「普段より元気がいい」と感じるくらいですが、重度になると活動は異常に多くなり、万能感が飛躍し問題行動が起こります。急性の躁状態には、強制入院が必要になることもあります。
●高揚、興奮、万能感、誇大的、開放的、楽観的、活動的
- しゃべり続ける、話題が次から次へと飛躍する
- 宗教や政治活動を率先する
- 手当たり次第に電話をかける
- SNSや掲示板に書き込みをしまくる
- TVショッピングを見るとすべて購入する
- 預金がなくなるまで浪費し続ける
- 自分を偉大な人物だと錯覚する
- 睡眠欲求が低下し眠くならない
- 失敗や問題はすべて無視する
- 病識が欠如する
- 性的欲求の高まりや異常な行動
- 幻聴「あなたは素敵だ!スターだ!」など
双極性障害の症状・自殺のリスク
双極性の症状は、躁状態で引き起こされる異常行動ですが、抑うつに切り換わると、それまでの活動的で楽観的で肥大した自己評価が一気に逆転し、自身の異常な行動を思い出したり、空になった財布を見て絶望に追い打ちをかけます。
さらに、異常行動によって、家族関係が崩壊することや、社会的な人間関係を失う例は多くあります。
そのため、自殺のリスクも「躁」から「うつ」へ転じるタイミングに大きく高まります。自分の行動を激しく後悔し、自分を責めて自己破壊につながるのです。
双極性障害の原因
- 遺伝要因
- 強いストレス
双極性障害は、これまでの研究で潜在的なリスクが遺伝することが分かっています。また、詳しいメカニズムは解明されていませんが、うつ病と同じように、出産後や強い強いストレスによって発症する例もあることから、ホルモンバランスなどの影響により脳に機能的な異常が起きるのではないかと考えられています。
双極性障害の治療法
双極性障害は、再発率が高く完治は困難であるため、薬による治療と心理療法による心のケアを続けながら社会生活に適応することを目指します。
- ●抗精神病薬
- 躁状態の急激な興奮や活動性を抑えるために用いられる。
- ●気分安定剤
- 気分の極端な変動を一定に保つ働きをする薬で、双極性障害の治療には欠かせないものです。
- ●抗うつ薬
- 抑うつに対しては、うつ病と同様に抗うつ薬を用いることがありますが、躁状態に転じた際のリスクが高いため、慎重に用いられる。
- ●心理教育と心理療法
- 躁状態では病識が薄れ異常行動が起こりやすくなるなめ、心理教育により病気に対する理解を深め抑制する力を養います。認知行動療法などの心理療法は、通常の社会生活に必要な対人関係スキルの教育やうつ状態に転じた際の自責や後悔を和らげる目的で用いられます。
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