強迫性障害
強迫性障害とは、「ガスの元栓の閉め忘れが気になる」ような、望んでいない思考が強い恐怖と不安を伴って何度も反復する強迫観念と、合理的ではないと分かっていながら、「何度も繰り返し手を洗う」などの強迫行為によって、日常生活に問題が生じる障害です。
- 有病率:人口の約2%
- 好発年齢:10代~20代
- 完治しにくい
強迫性障害の症状
強迫観念
- 車の運転中に人をひいた気がする恐怖と不安
- 人に触ると感染症になる気がして怖い
- 突然心臓が止まるのではないか怖い
- 手の汚れが気になって落ち着かない
- コンロの火がついたままではないかと不安
このような考えが強い不安と恐怖を伴って頭の中で繰り返される。事実とは異なる自分の考えだと分かっているが、止まらない不快な思考。さらに、強迫観念によって強迫行動が誘発される。
強迫行為
- 鍵の閉め忘れや火の消し忘れを何度も何度も確認する
- 歩行中に人を傷つけたのではないかと通った道を確認しに行く
- 何度も何度も手を洗う
- 大切なものを間違って捨てる気がして物が捨てられない
自分でも間違った行動だと分かっているが、不安や恐怖を止めるために何度でも繰り返されます。強迫性障害の半数近く(約40%)が、汚れに対する心配(強迫観念)によって起こる手洗い行為(強迫行動)です。
また、強迫性障害は、醜形恐怖や強迫性パーソナリティ障害にも関連性があると言われています。
強迫性障害の原因
- 脳の機能障害
- 性格傾向
- 遺伝
強迫性障害には、遺伝要因がると考えられています。主に脳の機能異常が原因とされていますが、ハッキリとした原因やメカニズムは明らかになっていません。
また、発症前から神経質(完璧主義・自己中心)な性格であることが多く、性格傾向が起因しているとも言われています。なお、ライフイベントやストレスが原因になることはほとんどありません。
強迫性障害の治療法
- 認知行動療法
- 抗うつ薬
治療では、病気に対する理解を深める心理教育や暴露反応妨害法などを用いた認知行動療法が、一般的で治療の効果が認められています。また、必要に応じてSSRIなどの抗うつ薬が処方されます。
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